社内不正と内部監査の必要性

不正監査事例

不正は育つ

私が働いていた会社は比較的世間に名の知れた企業です。

外から見た企業イメージは結構いいと思いますし、コンプライアンス(法令順守)的にもまずまずしっかりした会社だと思います。

ですが、不正監査の担当になってから、会社や社員に対する見方が変わりました。

「悪いことをして得をしようとする人がこんなにいるんだ」と。

実際、10年程の間に、合計100件近い案件を担当した気がします。

勿論、規模はさまざまで、小さいものは例えば交通費の精算で数千円をごまかすという程度なんですが、それでも不正は不正です。

そして監査の世界には、「不正は小さく生まれて、大きく育つ」という言葉があります。

小さな不正を放置しておけば、当事者は増長してより大胆なことをし始めるという訳です。

億単位の不正には出会いませんでしたが、その一歩手前の案件は経験したことがあります。

監査法人「我々は、不正を見つけることは出来ません」

監査には、社員が担当する“内部監査”と、社外の監査法人が行う“会計監査”があります。

上場企業は会計監査を受けるのが義務ですから、私の会社も会計監査を受けていました。

ただ、会計監査で見るのは比較的規模の大きな不正会計や会計上のミスが中心です。

数万円程度の細かな不正は、はなから相手にしていません。

彼らは決められた時間内で膨大な作業をこなさないとならないので、小さなことまで見ている時間的な余裕がないという現実的な制約もあります。

また誤解を恐れずに言わせていただくと、私が出会った監査法人の方たちの基本的なスタンスは、

我々は、クライアントから自発的に提出された資料以外、監査の材料を持っていません。なので、意図的な不正を見つけるのは無理です

というものでした。

(大きな会計不正事件が起きた後に、監査法人も世間や行政から責任を問われる為、このスタンスは昨今変わってきたとは思いますが。)

不正に対する“最後の砦”!

なので、企業自らが監査部という内部捜査チームのような組織を持つのはとても重要だと思います。

監査には、不正予防の機能もあって、社員が互いをチェックするルールを各部署に作ってもらい、それがきちんと機能しているかを定期的に検査もします。

それでもルールの網の目を逃れる方法を見つける人はいます。

そりゃー何千人、何万人も従業員がいれば、年に数名程度、よからぬことを考える人も出てくるのは仕方ないのかもしれません。

一方、同僚の悪事を疑うなんて、悲しい仕事だと思う人もいるようです。

ですが、不正と言うのは、真面目に仕事に励んでいる仲間を裏切る行為です。

社員自身がきっちり見ていくことが大切なんじゃないでしょうか。

監査の世界には“職業的懐疑心(Professional Skepticism)”という言葉があって、疑うことを奨励さえしています。

いわば、監査部は不正に対する最後の砦なのです。

社内的にはちょっと恐れられ敬遠される部署ではありましたが、こんな風な感じで仕事には誇りをもって取り組んでいました。

ちょっと大上段からスタートしてしまいましたが、次回からは具体事例をひとつずつご紹介していきます。

なおこのブログには、不正を助長したりあおったりする意図は一切なく、不正の具体的な手口の話もしますが、それを真似しようなどとは決して考えないでください。企業で働いている方は、もし妙な誘惑にかられるようなことがあったら、あなたの会社の監査部やそれに類する仕事をしている人にいつかは必ず見つかると考えてくださいね。

コメント

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