事実に基づく不正監査のストーリーです
このブログでは、企業の不正監査の実態をご紹介していきます。
“監査”と聞いて、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
私は、数年前に定年退職するまで、某大手企業の監査部で約10年仕事をしていました。
元々、監査には、正直、ややネガティブな印象を持っていました。
具体的な仕事内容はよくわからないものの、”会社内の警察”といった怖いイメージです。
実際、別の部署で働いていた頃、監査部からちょっとした問い合わせの電話を受けた時、特にやましいことがないにもかかわらず、ドキッとしたのを覚えています。
「不正の疑いでもかけられたのかな?」と。
そして、私が担当になったのは、まさに“不正監査”でした。
監査は意外に面白い!
監査部員が不正を調べるのは当たり前と思われるかもしれません。
ですが、実際は、不正対応を行うのは、監査部の中でも私を含む少数の社員に限定されてました。
機密性の高い仕事だからです。
なので、何年いても、不正案件には一切タッチしない部員の方が多数派です。
彼らの主な業務は、“業務監査”といって、社内ルールがきちんと守られているかのチェックを行うことです。
私が不正調査の担当に選ばれた理由はよくわかりません。
口が堅そうと思われたのかもしれません。
しかし実際に経験してわかったのは、とにかく面白い仕事だということでした。
普通の会社員が、ある日いきなり刑事か探偵にでもなった感覚です。
スリルに富んでいるし、想像力・推理力を試されるし、隠れた不正を見つけ解決したときは大きな達成感もあります。
決して簡単な仕事とは言えません。
しかし、職務を遂行するための強い調査権限が与えられており、それまで培ってきた知識やスキルを存分に発揮できる喜びもありました。
まるで刑事ドラマ
不正の当事者へのヒアリングは、真実を引き出そうとする側と隠そうとする側の真剣勝負でした。
不正発見から当事者の処分に至る過程は、ある種の人間ドラマのようにも感じました。
この経験は、刑事ドラマや推理小説的な面白さもあるように思います。
また実際に監査業務に携わっている方には、今後の業務の参考になるかもしれません。
そこで、一定の脚色を加え、“事実にヒントを得たフィクション”としてお話させて頂こうと思います。
記憶をたどりながらの執筆になりますので、ややスローペースになりますが、週1回を目標にアップしていきたいと思います。
また、監査関連の小ネタや、趣味の語学学習についても、監査と絡めながら書いていこうと思います。
多くの方は、不正などご自分には縁のない話と思うかもしれません。
しかし、何らかの組織内で仕事をしている限り、不正はあなたのすぐ身近で起きている可能性が十分にあります。
「ひょっとしたら、うちの会社にも、似たようなことしている人がいるかもしれない」、そんな風に想像しながら楽しんでいただければと思います。
なおこのブログには、不正を助長したりあおったりする意図は一切ありません。不正の具体的な手口の話もしますが、それを真似しようなどとは決して考えないでください。もし妙な誘惑にかられるようなことがあったら、あなたの会社の監査部やそれに類する仕事をしている人にいつかは必ず見つかると考えてくださいね。