中国語検定チャレンジの理由
私が中国語の勉強を始めたきっかけのひとつは、中国出張の際、中国語検定(中検)四級を持つ同僚が、現地のレストランで中国語で注文してくれたことです。
中検四級というのは入門レベルでして、勿論かなりたどたどしい様子でしたが、それでも、一言も話せない自分と比べると、まるで天と地の違いがあります。
更に、彼から中検四級を取得する為の勉強期間は半年程度だったということを聞き、それならば自分も、と思い立った訳です。
そうした背景もあって、学習を始めた当初から、自然と中検の取得は一つの目標になっていました。
二級取得までは順調
四級から挑戦しようかと思っていましたが、実際には、学習開始からちょうど1年後に三級を受験し、一発で合格しました。
残念ながら、結果通知を捨ててしまい、正確な得点はわからないのですが、確か合格基準に対して結構余裕のある点数だったと思います。
そして、その1年後、二級を受験し、これも無事一発で合格しました。
こっちは結果通知を保管していましたので載せておきます。
これによると受験日付が2017年11月26日、得点は、リスニングが85点、筆記が92点です。
合格基準はリスニング・筆記とも70点ですので、結構余裕の合格です。
平均点がリスニング68.1点、筆記65.3点と記載されており、平均と比べてもかなり良かったことがわかります。
なお中国語検定協会のHPによると、このときの二級は、全国で1,758名が受験し、合格者数は603名、合格率34.3%でした。
協会は、二級の水準を、「実務能力の基礎づくり完成の保証」という微妙な言い回しで定義していますが、必要な単語数は3,000~6,000単語、学習時間500~700時間というのが合格のひとつの目安だそうです。
二級合格を中国語専攻課程の4年終了時の目標にしている大学もあるそうですので、例えば、同じ二級と言っても、英検二級よりはかなり難しいのではないかと思います。
それを学習開始から2年で合格できた為、結構うれしかったです。
準一級の壁
いずれにしても、ここまでは順風満帆といっていい進捗だった訳ですが、その次の準一級で壁にぶつかりました。
因みに、中検の最高峰は一級ですが、一級は通訳レベルと言われていて、受験者数・合格者数からもその難易度が想像できます。
一級の試験は年1回ですが、例えば2023年11月実施回では、204名が受験し、最終的に合格したのは10名です。
全国で1年間にたったの10名ですよ!
合格者のほとんどは、研究者などの中国語の専門家か、なんなら中国人だそうです。
ですので、仕事で中国語が必要な一般の人や、私のような趣味で学ぶ人間が目指す最終ゴールは準一級となる場合が多いようです。
なお、中国語検定協会は、準一級のレベルを”実務に即従事しうる能力の保証”と定義しています。
ともあれ、この準一級が、私にとっては本当に厚い壁でした。
何しろ、試験を受けてみようという気になるまでに、二級合格から3年以上がかかったのです。
二級に合格したのが三級合格の翌年だったのと比べても、二級と準一級の難易度の差を感じて頂けるでしょう。
協会は過去問を10回分、HPで無料公開してくれていますが、準一級の試験問題は、二級合格レベルでは丸っきり太刀打ちできる内容ではないんです。
中検は、一級以外は、年に3回、3月、6月、11月に行われます。
準一級を最初に受験したのは2021年3月、それから4回不合格で、やっとのこと合格したのは5回目です。
試験は、二級までと同様、リスニングと筆記に分かれており、合格ラインは準一級ではそれぞれで75点以上で、どちらかでもこれを下回ると不合格です。
たまに難易度調整で合格点が下がるときがあり、21年11月の筆記と、22年6月のリスニング・筆記は、合格基準が70点でした。
以下が、21年3月の1回目から、合格した22年6月までの、得点の推移です。
1回目 2021.3 | 2回目 2021.6 | 3回目 2021.11 | 4回目 2022.3 | 5回目 2022.6 | |
リスニング | 78 | 80 | 82 | 73 | 80 |
筆記 | 71 | 74 | 67 | 75 | 75 |
ご覧いただければおわかりのように、落ち続けた4回目までも、リスニングと筆記のどちらか片方は合格ラインに達しており、もう片方もかなりギリギリの点数です。(黄色マーカーが合格基準未満)
中検の問題は、リスニング・筆記ともに、半分が選択式、半分が記述式です。
和文中訳やリスニングのディクテーション(音声を聞いてその内容を書き写す)は中国語を書かなくてはなりません。
特に、和文中訳は、採点者の手心次第で数点程度の前後はいくらでもあり得ると思われ、このギリギリでの不合格の連続には正直心が折れそうになりました。
中国語検定協会が、受験者数を維持する為に、合否ライン上の受験者にはわざと厳しく採点して無理に不合格にしているのではないかと邪推したほどです。
もっとも、準一級も一回当たりの受験者数は全国で300-400名程度に過ぎず、問題を作成するコストを考えると、協会としては毎回1名でも多くの人に受験者してもらいたいのは間違いないところだとは思います。
問題の中身もえぐいです。
例えば、中国語には”成語”という故事などに基づくいわゆる四文字熟語が山のようにあり、中国人同士の会話ではそれを当意即妙に使いこなすことがひとつの教養の証なのですが、それがいくつも出題されます。
私は、確か2000個くらいの成語が記載されている”成語辞書”のようなものを購入して、その全てを、少なくとも見れば意味がわかる程度までには学習しましたが、それでも見たことのない成語が出題されたことは何度もあります。
更には、ディクテーションなどで、成語を自分で書くことも必要で、これは見てわかるというのよりは一段高い習得度が必要です。
また、物やことを数える単位である”量詞”の種類が多いのも中国語の特徴の一つなんですが、”蚊に刺された回数”等、マニアックなものが選んで出題されます。
ともあれ、苦労が並大抵のものではなかっただけに、合格通知を手にしたときの喜びはひとしおでした。
以下が一次試験の合格通知(兼二次試験の案内)です。
一瞬、筆記は合格ギリギリかと思いましたが、上にも書いたように難易度調整があり、ヒアリング・筆記とも、合格基準点が通常の75点から70点に下がっていたので、ギリギリと言うほどではありませんでした。
このあと、面接形式の二次試験がありました。(二次があるのは準一級から)
二次試験の合格率は、一級は30-50%と二次でも相当数が不合格になりますが、準一級は二次合格率が95%ほどと極めて高い傾向です。
その為、正直、二次試験のことは甘く見ていました。
ところが、結果は合格ライン75点をぎりぎりで超える78点。
最後まで肝を冷やしました。(画像がちょっと粗くて申し訳ありません。)
実は、この試験の前の週にコロナにかかり、試験当日には、体力は回復していたものの、喉が元に戻っておらず、かすれ声しか出せなかったことと、ZOOMでの実施だったのですが、自宅のPCのボリュームが十分でなく、面接官の言っていることが聞こえにくくて何度も質問を聞きなおしたために減点されたのかもしれません。
平均点を大幅に下回っているので、合格したとはいえ、ちょっと恥ずかしいのが正直なところです。
なお、この回の受験者数は全国で373名、二次合格者は64名、合格率17.2%だったそうです。
ともあれ、こうして私の中検へのチャレンジの旅は終わりを迎えました。
一級は、難度が高すぎて、元々受験する気ありませんでしたからね。
”地獄”はちょっと言い過ぎかもしれませんが、それにしても大変な道のりでした。
現在は、更なるレベルアップは目指しておらず、現状維持を目的にのんびり週一回の会話授業を楽しんでいます。