中国語の勉強を始めたのは52歳
私が中国語の学習を始めたのは52歳のときです。
完全にゼロからのスタートでした。
自分でも、新たに外国語の学習を始めるにはやや遅すぎる年齢だと思いました。
始めたとしても、果たしてものになるものかどうか。
結果としては、時間はかかったものの、59歳で中国語検定の準一級を取得することが出来ました。
因みに、私はTOEICで975点を取っていますが、中検の準一級の難易度はそれと同程度もしくはそれ以上と感じています。(中検準一級の難易度については「地獄の”中検準一級”」で詳細に紹介していますので、ご興味ある方はぜひご一読下さい。)
今、週に1回、中国人の先生と会話レッスンをしていますが、さほどの苦労なく、幅広い話題について普通に会話できています。
年をとっても、語学は習得できるというひとつの事例でしょう。
今日は、この遅すぎる中国語学習開始のきっかけについて話してみたいと思います。
中国出張時の2つの出来事
主な理由は、中国出張時に経験した2つの出来事です。
私は、監査部への異動前、20年近く国際部門に在籍していた為、多くの国への出張を経験していましたが、何故か中国本土には一度も訪問する機会がありませんでした。
それが、監査部に異動すると、1年も経たずに、4~5回中国に出張することになりました。
監査的には、中国は、比較的問題の多い地域だったんですね。
1回目の出張では、日本から通訳の方に同行頂いたので問題なかったのですが、2回目は監査部の同僚との2名での出張でした。
2つの出来事は、いずれも、この2回目の出張時に経験したことです。
“中検4級”でも意外といける
1回目の出張で印象に残ったのは、中国では、空港やホテルはともかく、タクシーと街中のレストランでは、英語が、それこそ一言も通じなかったことです。
これは、ヨーロッパや東南アジアへの出張ではなかったことです。
そこで、この2回目の出張時は、タクシー用に会社とホテルの場所に印をつけた中国語の地図のコピーを用意したり、それなりに準備をしていました。
とはいえ、相当に不便な思いをするだろうことは覚悟していました。
ところが実際には、同行した同僚が、たどたどしいながらも中国語を話し、3日間程の滞在期間、大きく困ったことはなかったのです。
この同僚は、私と同年配で、たまたま国際部門にいた頃からの知己でしたが、中国駐在経験がある訳でもなく、何故中国語を話せるのかを不思議に思いました。
尋ねたところ、10年程前、別の部署で仕事をしていた際、中国に頻繁に出張する必要のある業務を担当していたことがあり、必要に駆られて初歩的な勉強をしたとの答えです。
“初歩的”と言うのが気になって重ねて質問すると、「NHKの中国語ラジオ講座で半年間勉強し、中検4級を取得した」と言うのです。
自分が準一級を取得した今では尚更よくわかるのですが、4級で求められるのはかなり基礎的な内容です。
それでも、一言も話せない自分と比べると、当時、彼にはまるで後光が指しているかのように見えたものです。
そして思ったのは、これだけ役立つ語学力を、わずか半年の努力で身に着けられるなら、タイパ(タイムパフォーマンス)は最高ではないか、と。(当時はまだ”タイパ”っていう言い方なかったように思いますが。)
これがひとつめの出来事です。
それまで、50を過ぎて新しい語学に挑戦する等、到底無理と思っていたのですが、その思い込みの扉が少しきしんで開いた瞬間だったと思います。
漢字は漢字
ふたつめは、同じ中国出張中に街角である看板を見かけたことです。
「〇〇商業銀行」(〇〇は地名)という看板でした。
「商業銀行」は簡体字で「商业银行」となりますが、大きな違いは“業”が“业”となっていることだけです。(”銀”の字も少し異なりますが問題なく読めます。)
そして、“业”という漢字は、“業”の上部の五画を切り取ったものであることに気づきました。
なーんだ、と思いました。
中国語の漢字、いわゆる簡体字は、オリジナルの文字を簡略化したものだということは知っていたものの、それでも、外国語は外国語であり、日本の漢字を知っていても、さほど役には立たないだろうと思っていたのですが、そんなことは全くない。
“業”の一部を切り取ったものだと知った瞬間、今後決して“业”という字を忘れることはないだろう、今まで英語やフランス語の単語を覚えるのに費やした努力に比べると、中国語の学習は如何に楽かと思ったものです。
因みに、この”业”のように、日本語の漢字の一部を切り取った形の簡体字には、”离”(離)、”云”(雲)、”开”(開)などがあります。
個人教師紹介サイト”中国語センセー”
この出張からの帰国後、ネットで探した中国語の会話学校に申し込みをしました。
半年ほど通いましたが、値段的にちょっと高かったことから、再度ネット検索をしたところ、“中国語センセー”という個人教師紹介サイトを発見しました。
このサイトには、日本全国に在住の中国人が1万人以上登録しており、4000円くらいの料金で10名まで紹介してもらえます。
ほとんどの先生が顔写真付きで登録しており、希望する授業料、授業実施可能エリア、プロフィール、特徴が記載されていて、初回お試しレッスンを無料で申し出てくれている先生も多いので、自分に合う先生を見つけやすいと思います。
授業を受ける場所は、自宅の最寄りのスタバ、ドトール等で、先生の交通費やお茶代をこちらが負担する場合が多いのですが、それを含めても1時間3000円も出せば結構多くの先生から選べると思います。
今の先生は、3代目ですけど、とても相性がよく、既に約5年の付き合いです。
この方が日本に住み続ける期間は、ずっとお願いしていきたいと思っています。
まとめ
このようにして学習を開始した中国語ですが、上述の出張時の想像とはまた異なり、それほど簡単なものではありませんでした。
特に発音の難しさは相当なものです。
とはいえ、勉強を始めてから丸1年で、出張に同行した同僚の4級を上回る中検3級を取得、この頃くらいから、中国人とのそこそこのコミュニケーションが可能になってきたと思います。(品川駅で旅行者の中国人に横浜までの行き方を尋ねられて答えることが出来て嬉しかったのもこの頃です。)
全く知らなかった言葉を、ある程度とはいえ、使えるようになるのは一種の快感です。
また言葉の学習を通じて、中国の文化や歴史、現代社会の状況などにも自然に関心を持つようになり、50代になるまでほとんど関心を持つことのなかった様々なことを知って、世界が広がったとも思います。
中国語の具体的な勉強方法についても別ページで紹介しています(50代で中検準一級合格! やってみてわかった超効果的な外国語学習法)ので、まだ中国語を学んだことのない皆さん、今更新しい語学を始めるには年を取りすぎていると思っている方、騙されたと思ってチャレンジしてみては如何でしょうか。