相当以前の話ですが、私はフランスに2年ほど住んでいたことがあります。
フランスに行くまでは、フランス人に対して、何となく洗練されたイメージを抱いており、今でも大枠においてそのイメージは間違っていなかったと思うものの、実際に一緒に過ごしてみると、また違った側面も見えてきました。
小さなことばかりですが、今日は私がフランス人を観察していて気付いたことをシェアしてみたいと思います。
どこでもパンを食べている
フランスと聞いて、フランスパン(フランス語では”バゲットbaguette”。この単語は”箸”のことも指します)をイメージする人もおられるかもしれません。
実際、街を歩くと、バゲットの専門店(boulangerie)はいたるところに見かけますし、通勤途中に、朝からバゲットを買いに来た人たちが列を作っている光景もよく目にしました。
ちょっと驚いたのは、パンを買って店から出てきた人が、老若男女を問わず、歩きながらさっそく食べ始めてしまうところです。
全員という訳ではないものの、結構な確率(私の肌感覚では4-5人に1人くらい)で、歩きながら、そのままかじったり、手でちぎったかけらを口に放り込んでいます。
道路だけではなく、地下鉄の中でも、むしゃむしゃ食べている人は少なくありません。
日本だって、歩きながらコンビニで買ったと思しきおにぎりを食べたりしている人はいないことはありませんが、そんなに頻繁に見る光景ではありませんし、さすがに電車の中でものを食べている人はほとんどいませんよね。
私なんかは、子供の頃に、公共の場でものを食べるのは行儀が悪いと言って叱られた世代なので、そのあたりの観念は少し違うのかなと感じました。
傘をささない
フランスに行ったり住んだりしたことのある多くの日本人が思い当たるのではないかと思いますが、フランス人は少しくらいの雨ではほとんど傘を差しません。
本当の霧雨程度ならそれもわかるのですが、日本人的にはそこそこ降っているなと感じるくらいの雨でも、傘をさしている人は稀です。
シャンゼリゼやフォーブルサントノーレなんかを歩いていて、急に雨がさーっと降り出しても、慌てて折り畳み傘を取り出すのは、日本人をはじめとした外国人らしき人ばかりで、大半のフランス人は、雨の中を急ぐでもなく、平気な顔で歩いています。
これも老若男女を問いません。
日本に比べると空気が乾燥しているので、雨が止むと、服が乾くのは確かに速いんですが、降っている間は、気持ち悪くないのかなと思ったものです。
太陽光線に弱い
”太陽に弱い”というと何やらドラキュラを髣髴とさせますが、そうではなく、特に春から夏にかけては、サングラスの着用率が、日本人よりはるかに高いんです。
最初はファッションとしてかけているのかと思っていました。
ですが、そのうちわかってきたのですが、決してそうではなく(そういう人もいるかもしれませんが)、多くの場合、眩しくて使わざるを得ないようです。
これは、眼球の色が日本人に比べて薄い為で、物理的に仕方ないそうです。
単に眩しく感じるだけでなく、サングラスで保護しておかないと、紫外線により角膜炎などになるリスクも高まるようで、ある意味、少し気の毒に感じます。
欧米のホテルでは、よく客室の照明がフロアライトと手元灯しかなく、日本人には暗く感じる場合が少なくないのですが、これもそのせいかもしれません。
生活時間帯が日本より後ろにずれていて、宵っ張り
日本との違いを最初に感じたのは、昼も夜も、平均的に食事の開始時間が遅いことです。
食事を始めるのは、昼は1時過ぎ、夜は8時過ぎ、が一般的かと思います。
ホームステイしていた家でも、夕食の開始時間は8時過ぎで、ホームステイを始めた第一夜は、いつまでも夕食に呼んでくれないので、自分がいることを忘れてしまって、家族だけで食べているのではないかと心配になったものです。
レストランも、原則、昼は12時、夜は7時までは開かないので、日本人の出張者のアテンドのときなど、困ったことがあります。
日本人は、昼は11時半、夜は5時半くらいから飲食店はやっているのが普通と思っているので、仕事が早めに片付いたときなど、どこの店もまだ開いていないと言うと、人によっては機嫌が悪くなったりするんですが、正直「そんなこと言われても」という感じでした。
”宵っ張り”については、一度、こんなことがありました。
子会社の現地人社長が、会社の前期の業績が良かったご褒美として、仕事帰りに管理職全員を観劇に招待してくれたんです。
単なる飲み会でなく、観劇っていう辺りは、フランス人らしいおしゃれな感じです。
劇自体は、正直、言葉があまりよくわからなかったので、内容は覚えていませんが、夜遅くなったことだけは忘れません。
劇が始まったのが、確か8時過ぎ、休憩をはさんで前後半にわかれていて、後半の終了時間は11時前、そのあと、皆でレストランに食事に出かけ、解散したのは夜中の1時を回っていたと思います。
タクシーを拾って家に着いたのが2時前で、それでも、翌朝8時半くらいに出社したときは、昨晩の参加者は、社長含め、全員出社済みで、皆、何事もなかったの如く、普通に仕事にとりかかっています。
後日、駐在の長い日本人の先輩に聞いたんですが、フランス人は、睡眠時間3-4時間でも、全然平気らしいとのことでした。
英語に対する考え方
最後に、英語に対するフランス人の考え方について書きます。
耳にされたことのある方も少なくないのではと思いますが、「フランス人は英語を話したがらない」ということです。
私が駐在していた時期には、これはまさに事実であると感じていました。
ホームステイ先では、大学生の娘さんは少しは話せましたが、ご主人や奥さんはほぼ一言も話しません。
タクシーの運転手さんなんかも、ごく簡単な単語を除いては、理解してくれなかったように思います。
働いていたパリの子会社でも、私が少しでもフランス語が出来ると知ると、多くの社員が、出来る出来ないは別にして、英語を使いたがりませんでした。
フランス語には、英語と同じあるいは似た単語が非常に多く、日本人に比べれば、はるかに楽に習得できるはずだと思うんですけどね。
ただ、状況は徐々に変わってきて、最近は、特に若い人の間では、就職が有利になるということもあって、英語を学ぶ人はどんどん増えているようです。
7-8年前にパリに出張したとき、メトロの中に英会話学校のポスターが貼られているのを見たときは、時代の変化を感じたものです。
まとめ
フランス人の”あるある”をいくつかピックアップしてみました。
如何でしたでしょうか。
まあ、あくまで私の経験の範囲内のことですので、全体像を正しく反映しているとは限りませんが、当たらずとも遠からず、なのではないかと思います。
フランスにお住まいの方、フランス旅行を計画されている方、フランス人のお知り合いがおられる方等にご参考にして頂ければ幸いです。